『青少年赤十字』の誕生は1922年。2022年5月5日に100周年を迎えました。
当支部では、“これまでの100年を見つめ、これからの100年につなげていく”をテーマに、100周年にまつわるコンテンツを随時掲載してまいりますので、ぜひご覧ください。
青少年赤十字100周年スローガン「未来のあなたへ、やさしさを。」
青少年赤十字創設100周年のスローガンは「未来のあなたへ、やさしさを。」です。
「未来」とは1秒後から10年後の遠い日までを示します。「あなたとは」You(他人)や I(自分)と 幅広く意味します。
青少年赤十字とは
「困った人、苦しむ人を見たら何かしてあげたい」という誰の心の中にもある気持ち。
その「やさしさ」や「思いやり」の心を引き出し、育てる。そして、自分や周りの人のいのちと健康を大切にする心、社会のため人のために尽くす奉仕の心、広く世界を知り助け合う心を養うことを目的に、青少年赤十字はさまざまな活動を学校教育の中で展開しています。
100年つづく赤十字の教育活動
青少年赤十字は、第一次世界大戦中(1914年-1918年)、カナダ、アメリカ、オーストラリア、イタリアの児童がヨーロッパで被災した児童たちに慰問品や手紙を贈って力づけようと、赤十字に依頼したことがきっかけで誕生しました。日本では、1922年に「少年赤十字」として発足し、1923年関東大震災での被災者に対し、食糧支援や文房具支援をしたことが最初の活動と言われています。創設から100年を迎えた現在では、全国で約14,000校が青少年赤十字を採用し、340万人以上の青少年赤十字メンバーがいます。
さまざまな実践活動
「やさしさ」や「思いやり」の心を育てるために、青少年赤十字は、子どもたちが「気づき、考え、実行する」過程を重視し、さまざまな実践活動を行なっています。それは、豊かな人間性とともに「生きる力」を養うという教育の使命と相通じることから、子どもたちの学びの場である学校に組織され、それぞれの学校の教育方針に基づいて先生が指導者となって活動を展開しています。
健康・安全―いのちと健康を大切にする―
基礎的な応急手当の習得、災害に対する備えなど、健康・安全のための知識や技術を学びます。


奉仕(ボランティア活動)―社会的に弱い立場にある人たちを手助けする―
高齢者、視覚障がい者の疑似体験や点字学習、手話学習を通じて、手助けが必要な人への理解を深めます。


国際理解・親善―広く世界の青少年を知り、仲良く助け合う精神を養う―
赤十字のネットワークを通じて、世界が抱える諸問題を学んだり、海外の仲間たちとの交流を通じて、国際理解を深めます。


青少年赤十字の歴史を振り返る
創成期 1948年~1968年(昭和23年~昭和43年)
人づくり
指導者育成に力を入れる。本社主催の講習会に千葉県からも多数の先生方が参加した。その後、千葉県でも支部主催の指導者向け研修を行った。同時に、児童生徒を対象に千葉県トレーニング・センターが開催。昭和25年から49年まで継続。多い年は1000人を超えるメンバーが参加した。
1948年(昭和23年)
千葉県の青少年赤十字は、千葉大学教育学部付属第一中から始まった。
1956年(昭和31年)
県立千葉第二高女街頭募金へ
1957年(昭和32年)
指導者研修会
1965年8月1日
日本赤十字社千葉県支部夏季児童保養所 於富浦海岸
こぼればなし
1926年(大正15年12月)
千葉県の青少年赤十字の前身「少年赤十字」が創設された。
千葉県の青少年赤十字の前身「少年赤十字」は、1926年(大正15年12月)が創設である。「少年の心に人類の共同心を国際的に養成する最も必要な要素」だったが、軍国主義、国家主義の傾向に流されその方向が見失われた。戦後その真価を発揮するため「再建青少年赤十字」となる。

日本の青少年赤十字は滋賀県守谷小から始まった。
転換期 1969年~1989年(昭和44年~昭和64年)
充実した活動
千葉県一か所で行っていたトレーニング・センターを昭和50年度から会場を分けて行った。多い年は、23会場1426人のメンバーが参加した。昭和53年度からは、中学生、高校生を対象に千葉県スタディー・センターを開催した。昭和54年度からは、地区協議会及び地区事務長会議も始まり、各地区が活発に活動する。
中学校スタセン
青少年赤十字の改革
青少年赤十字の組織及び活動に関する規定が示された。①青少年に対する赤十字の精神の必要性②青少年赤十字のもつべき性格③学校を現場として行われる青少年赤十字など内容を明確にし、活動の場を学校教育とし社会教育と連携して進めようと、昭和40年代後半は青少年赤十字にとって大きな転換期といえる。
研修会講師 朝野先生
充実期 1990年~2020年(平成2年~令和2年ごろ)
広がる仲間
昭和23年に千葉大付属第一中学校から始まった青少年赤十字活動も、昭和61年に200校を超え、平成5年には249校となった。千葉県青少年赤十字指導者協議会に組織化され、自主的に活動できる児童生徒の育成体制が確立された。
研究推進校 興津小
防災学習
メンバーの派遣
青少年赤十字の実践目標の一つである「広く世界各国の青少年を理解し親善を深める」という目標を実行に移した活動である。昭和41年度に青森県、福島県群馬県に12名のメンバーと2名の引率者を派遣したことから始まる。その後、国内の支部を訪問し、海外派遣に発展した。昭和57年度から62年度まで、日韓交流を6年にわたり実施した。そのほか、青少年赤十字大会などでもネパール、マレーシア、タイのメンバーと交流した。
ベトナム訪問
黎明期 2021年(令和3年)~
防災教育・心の教育
1990年(平成2年)長崎県雲仙・普賢岳の噴火、1993年(平成5年)北海道南西沖地震、奥尻での津波、そしてまだまだ復興途中の2011年(平成23年)東日本大震災、我が国日本は災害が多く、それを防ぐ力が必要とされている。青少年赤十字では、「健康・安全」「奉仕」「国際理解・親善」の三大実践目標を再確認し、いのちを守ることを学ぶ教材を作成して防災教育に力を入れている。また、近年の「新型コロナウイルス感染症」に対して、身体だけではなく、心の健康についても力を入れている。根底に流れるものは、今までもこれからも「人づくり」である。
防災講話 船橋中
100周年記念に寄せて~関係者からの声~
人工知能が社会の要となり、仮想空間と現実空間が高度に融合して激変する今日。私たちの価値観は飛躍的に多様化しました。
国際社会に目をやれば、武力を背景とした人道危機や克服に至らない新型ウイルスへの挑戦が続き、気候変動が生む自然災害は猛威となって世界各地に爪痕を残しています。
未来を支えて生きる命。多様で複雑な変化と主体的に向き合い、協働を通して課題解決に臨む「生きる力」の育成が学校教育の使命です。百年にわたり時代に寄り添ってきた青少年赤十字の理念と活動は、まさに今日の学校教育目標を具現化する姿と重なります。青少年赤十字の営みが学校教育と相乗し、未来を生きる人材を育むものと実感しています。
千葉県青少年赤十字指導者協議会長 荒井 俊郎
公立小学校に勤務・退職し、賛助奉仕団員となって、通算四十年以上、赤十字の活動に関わっています。
千葉県青少年赤十字指導者協議会は、地区トレセンや県スタセン、各種の行事によって、多くのボランタリーな青少年を育成してきました。あわせて、同様な行事・活動や採用校の活動を通して、多くの指導スタッフの育成にも努力しています。
私もこの四十年間の中で、人と人のコミュニケーション活動を通じて、人間性豊かな優秀な子どもたちの育成や指導スタッフの育ちに関わってこれたことは、人生の最大の宝です。
千葉県青少年赤十字賛助奉仕団委員長 奥田 誠
青少年赤十字活動に取り組む子どもたちは、例えばどこかで災害が発生した時「先生、大変だよ!何かしようよ」と言って募金活動に取り組むなど、他者に対しての思いやりの心、そして自分で考え行動できる力が育っていると感じます。学習指導要領では、「生きる力」を教育の柱に掲げ、それを「自ら学び、考え、主体的に判断する能力」と位置付けており、まさに青少年赤十字の理念はそれに結びつくものと言えます。また、青少年赤十字には「先見」など学級経営にすぐに活用できる考え方や手法があるため、ぜひ多くの学校や先生方に取り入れてもらいたいです。
南房総教育事務所(安房分室)指導主事 鈴木 美映子
私は高校時代に千葉県の青少年赤十字高校生メンバーの代表として、県内の高校生メンバー同士の交流会や研修会の企画・運営をしていました。研修会では、車いすの扱い方や手話学習など福祉体験に力をいれました。活動を通して、知らない人と一緒に活動するための環境作りを学び、そのことが慣れない環境に挑戦する自信にも繋がりました。また、今でも印象に残っている活動は、トレーニング・センターやスタディー・センターなどの集合研修です。そこで活動を共にした魅力的な仲間から刺激を受け、学校に赤十字活動を持ち帰って広げるなど新たな活動にも結びつきました。
青少年赤十字での経験は、今の自分自身を支えてくれています。活動中の青少年赤十字メンバーの皆さんにとっても、青少年赤十字が素敵な経験になることを願っています。
元青少年赤十字メンバー/現青年赤十字奉仕団員 保坂 隆裕
私は小学校から12年間、青少年赤十字のメンバーとして学内外で活動していました。
私にとって人生のターニングポイントは、中学2年生で参加したバングラデシュとの国際交流事業です。現地で指導者から「本当の支援とは何か」を問われ、相手の求めていることをただ行動するのでなく、ニーズを把握したうえで行動することが大切だという「気づき」を得ました。
青少年赤十字の魅力は学外におけるリーダーシップ・トレーニング・センターや国際交流の際に多くの「気づき・考え・実行する」を体験していく中で自己変容が起こること、それを踏まえた学内における活動で経験が深まり、学校の仲間に「優しさ」や「思いやり」の輪が広がることだと思います。
当時の学びや経験は、現在の業務だけでなく日常生活にも生きています。これからの子どもたちにも青少年赤十字を通じて人生のターニングポイントがあるよう、大人になった私は職員として未来につないでいきたいです。
日本赤十字社本社 職員 石黒朱夏
私は高校生の頃、青少年赤十字メンバーとして学校の内外で活動に取り組んでいました。その中でも特にリーダーシップ・トレーニング・センター(トレセン)での体験が今の自分を形成しているように感じます。
トレセンでは、あらゆる場面で「今、何をすべきか」を問われます。最初のうちは「何もすることはない」という考えに至りがちでしたが、指導者のアドバイスを受けて心のアンテナを高く張るよう意識すると、小さな変化に気づけるようになり、その変化に対し自分が何をすべきか考える余地が生まれ、考えを深めていけば自然になすべき行動ができるようになっていました。
「何もしない」も時には大切ですが、変化に気づき、自分で考えた結果として何もしないのと、ただ傍観するのとでは大きな違いです。今振り返ると、多感な時期に自分にできることは何か?を問い続けられたのが等身大の自分の理解につながり、今の自分につながる自己変容のきっかけになったと感じています。
今、活動している青少年赤十字メンバーが積み重ねる経験や学びが、いつか自身にとって大きな財産になることを願っています。
日本赤十字社千葉県支部 職員 飯塚大輔
100周年関連トピックス
- 2023年2月24日 青少年赤十字創設100周年記念 つながるダンスプロジェクト
- 2023年2月22日 青少年赤十字創設100周年記念「千葉県青少年赤十字のつどい」作品が完成しました
- 2022年11月8日 青少年赤十字創設100周年記念「令和4年度国際交流」に参加しました
- 2022年8月26日 千葉県立四街道高等学校JRC同好会が高校生ボランティア・アワード2022にて 特別表彰「青少年赤十字創設100周年賞」を受賞しました!