報道で多く取り上げられている、ウクライナやイスラエル・ガザ以外でも、紛争や自然災害は世界各地で発生し、人々のいのちや健康を脅かしています。
赤十字は、世界中で苦しんでいる紛争犠牲者や被災者に対し、世界191の国と地域に広がるネットワークを活かして、緊急救援から復興支援、そして開発協力まで、皆様からお寄せいただいたご寄付によって切れ目のない継続的な支援活動を行っています。
今回は、千葉県支部が資金援助・人的支援を行っている4ヵ国の支援内容にスポットをあてご紹介します。
日本赤十字社の主な支援国と支援内容
アジア・大洋州
- アフガニスタン人道危機救援
- アフガニスタン気候変動対策事業
- ラオス救急法普及支援事業
- ネパールコミュニティ防災強化事業
- 2022年パキスタン洪水救援
- バングラデシュ南部避難民支援
- トンガ大洋州噴火津波救援
- インドネシア防災強化事業
アフリカ
- ルワンダ気候変動等に対するレジリエンス強化事業
- 南部アフリカ地域 保健・教育支援事業
- 東アフリカ地域 コミュニティ参画強化事業
- 南スーダン紛争犠牲者支援事業
中東・北アフリカ
- 中東人道危機救援
- 2023年トルコ・シリア地震救援
ヨーロッパ
- ウクライナ人道危機支援
日本赤十字社の支援国 94ヵ国(2022年度)
南スーダン紛争犠牲者支援事業
続く武力衝突で傷ついた人々を助け、自立した生活を支える
ワウのリハビリテーションセンターを訪れた負傷者
©ICRC
2011年の独立以降も紛争が続く南スーダン。2022年は約230万人が周辺国に難民として流出し、約220万人が国内避難民となっています(出展:OCHA)。
赤十字国際委員会(以下、ICRC)は、南スーダン赤十字社と連携し、食料の配付や生活の自立支援、負傷者の医療支援、避難民の保護活動、こころのケア、離散家族の再会支援・追跡調査支援等を実施しています。日赤では、1990年、独立以前のスーダンの時代から、ICRCの活動への資金協力及び医師・看護師の派遣を通じて同国での医療活動に貢献してきました。また、紛争によって障害を負った人々がリハビリを通して自立した生活が送れるように、リハビリテーションセンターを運営し、義肢製作などの技術的なサポートを行っており、2022年には紛争で四肢に損傷をきたした3,200人に対しサービスを提供しました。
ラオス救急法普及支援事業
ひとりでも多くのいのちを救える社会を目指して
ラオス赤職員に技術指導する千葉県支部職員
ラオスは、インフラの整備が不十分であることから、特に地方部で雨季には洪水や地滑り等の自然災害が頻発しており、都市部では、経済発展に伴い道路交通量が増える一方で交通事故が多発しています。災害や交通事故のリスクが高いにもかかわらず、医療体制が十分でない背景から、ラオスでは地域住民が自分たちで応急手当を実施できるようにすることが非常に重要です。
日赤では、2019年から、ラオス国内で救急法を普及するための指導員の養成や資機材の整備など、ラオス赤十字社が行う救急法普及事業を支援しています。2023年2月には千葉県支部から職員を派遣し、技術支援を行いました。
インドネシア防災強化事業
災害時に誰もが取り残されない仕組みづくりを
水難救助訓練に励む地域ボランティアや行政の参加者
©インドネシア赤十字社
アジア有数の災害多発国であるインドネシアでは、特に地方部での公共インフラ整備が著しく遅れています。
日赤は、2020年から、インドネシア赤十字社とともに同国ジャワ島南部の巨大地震の発生リスクの高い村落と学校を拠点に防災強化事業に取り組んでいます。全村で土砂崩れや津波のリスクが高い場所、避難経路、集合場所などを示す標識を設置したり、災害時の早期警報システムの訓練や、洪水に備えた水難救助訓練などを実施しています。学校では、災害時に危険な場所を生徒自らが理解するためのハザードマップづくりや、生徒が適切に避難できるよう、防災教育の指導要領も策定しています。
バヌアツ青少年赤十字海外支援事業
子どもたちの防災意識を高める
小中学生を対象にした防災教育
©バヌアツ赤十字社
バヌアツは、オーストラリアの北東に位置し、83の島からなる島国です。ほかの太平洋の島々と比べ火山噴火、サイクロン、津波など多くの災害を経験するなど災害リスクの高い国ですが、防災知識の普及や学校での災害対策が進んでいないために、被害の拡大を招いています。
バヌアツ赤十字社は防災教育事業を進めており、日赤は2017年度から本事業を支援しています。バヌアツの教育訓練省と協定を結び、学校カリキュラムの中に防災教育プログラムを組み込むなど、災害リスク軽減と防災の正しい知識を教える環境づくりに取り組んでいます。
今、危機に瀕している1億人の命をつなぐために
キャンペーン期間:12月1日(金曜日)~12月25日(月曜日)
日本赤十字社では、世界各地の紛争や自然災害などに苦しむ人々を支援するため、本年度もNHKと共催による「NHK海外たすけあい」キャンペーンを実施します。
この活動では、“必要な人に、必要な支援を”という理念を掲げ、対象を絞らずに幅広く行き届く支援を行っています。たとえ社会の関心が薄れてしまった人道危機であっても、誰一人取り残さないために、皆様のご協力をよろしくお願いします。
詳しくは、「日本赤十字社ホームページ」をご覧ください。
知っていますか?赤十字マークの意味
赤十字マーク(赤十字標章)は、戦争や紛争時に、負傷者を救護する人や施設等を保護するために表示するもので、ジュネーブ条約において、このマークを掲げた救護員や病院等には、絶対に攻撃をしてはならないと定められています。
知っていますか?戦争にもルールがあることを
国際人道法では、一般市民への無差別な攻撃はもちろん、危険なエネルギーを内蔵するもの(原発、ダム、堤防等)、一般住民の生存に不可欠なもの(食糧生産のための農業地域、作物等)、文化財や歴史的遺産の破壊は禁じられています。
動画で見る国際人道法「戦時の決まりごと(YouTube International Committee of the Red Cross (ICRC)チャンネル)」をご覧ください。