千葉県支部は1892年(明治25年)11月に日本赤十字社千葉県委員部として設立して以来、県民の皆さまに支えられ、戦時・災害時の救護活動から、戦後の安否調査、また災害時や突然の事故・病気の際に役立つ救急法等講習の普及など「いかなる状況下でも、人間のいのちと健康、尊厳を守る」活動に取り組んでまいりました。
今回は赤十字の起源であり、赤十字事業の要とも言える救護活動の130年を振り返ります。
130年のあゆみ
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1904年(明治37年)~
日露戦争救護
病院船「弘済丸」内の様子日露戦争が始まると、日赤は臨時救護部を設け、満州・朝鮮方面に150個班を超える救護班と2隻の病院船を派遣。千葉県支部では、傷病兵を収容して内地へ護送する病院船と各地の予備病院へ救護班2個班(54名)を派遣しました。
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1923年(大正12年)
関東大震災救護
芝公園に設置された救護テント関東地方でマグニチュード7.9の地震が発生し、死者・行方不明者が約10万人を超える未曽有の被害をもたらしました。日赤は各支部の救護班総勢4,400余名を動員し、延べ206万人余を救護。千葉県支部では、千葉・佐倉・安房に救護所を設置し93名の救護員が従事したほか、東京にも救護班2個班を派遣しました。
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1937年(昭和12年)~1945年(昭和20年)
日中戦争~太平洋戦争救護
日赤本社を出発する戦時救護班955個班(延べ3万5,785人)にのぼる救護班が、北は満州、南は太平洋諸島に派遣され、1,000人を超える殉職者が出るなどその規模や犠牲の大きさは空前絶後のものでした。千葉県支部からは、病院船や国内外の病院などに救護班16個班(676名)を派遣しました。
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1990年(平成2年)
茂原市竜巻災害救護
竜巻による被害状況強い低気圧の影響で、千葉県茂原市で雷と同時に竜巻が発生し、竜巻は約7分間のうちに市の中心部を縦断し、最大幅約1.2km、長さ約6.5kmの範囲に深刻な被害を出し、死者を含む国内最大規模の竜巻災害となりました。千葉県支部から救護班1個班を派遣しました。
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1995年(平成7年)
阪神・淡路大震災救護
被災地の状況を確認する救護班死者・行方不明者6,434人、負傷者4万4,000 人余を数え、兵庫県を中心に甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災には、日赤は全国から救護班延べ981個班(5,959名)を派遣。千葉県支部からは、神戸市へ救護班4個班を派遣(延べ19日間、114名)し、412名を診療しました。
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2011年(平成23年)
東日本大震災救護
水没により孤立した避難所へ向かう救護班宮城県沖で国内観測史上最大のマグニチュード9.0の大地震、巨大津波が襲い、死者・行方不明者は2万2,303人を数えました。発災当日、日赤は全国の支部から救護班55個班を被災地に向け出発。同年9 月までに894班(6,492人)を派遣し、7万5,892人を診療しました。千葉県支部では、発災直後から約半年間にわたり、医療救護班やDMAT、こころのケア班等182名を派遣しました。
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2016年(平成28年)
熊本地震災害救護
被災者のこころのケアを行う看護師熊本県を震源とする最大震度7の地震が短期間に2回発生し、余震も多発。死者は関連死を含めて273人、住宅被害は約20万7,000棟に及び、日赤は1,689人の救護員を派遣。千葉県支部では、熊本市や阿蘇市、南阿蘇村などに医療救護班、こころのケア活動要員等総勢27名を派遣しました。
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2019年(令和元年)
令和元年房総半島台風災害救護
千葉県支部に参集した県内外の救護班観測史上最強クラスの勢力で関東に上陸し、千葉県を中心に甚大な被害をもたらした台風15号。安房地域を中心に家屋の被害が甚大で、県内の広い範囲で長期間におよぶ停電が発生しました。県内外の救護班が千葉県に参集し、館山市の安房医療センターを拠点に救護活動を展開。千葉県支部からは救護班2個班とこころのケア要員4名を派遣しました。
Q赤十字は災害救護のイメージがあったけど、戦時救護もしていたの?
もともと赤十字は“戦時下で傷ついた人を敵味方の区別なく救いたい”という想いから生まれた組織です。このため、戦時下では戦時救護を行なっていましたが、現在では「災害救助法」に基づき災害時に医療救護をはじめとした救護活動を行っています。
これからも被災者に寄り添った救護活動を続けるために
災害現場には、赤十字の救護班のほかに国や自治体が派遣するDMATや日本医師会が派遣するJMATなど、様々な医療チームが駆けつけます。その中での赤十字の強みは、全国91の赤十字病院が交替で救護班を派遣するなど、切れ目のない救護活動を展開できること、そして、救援物資の配布、赤十字ボランティアによる避難所支援など、医療に限らず被災者が必要とする様々なニーズに応えられる体制が整っていることです。
千葉県支部の医療救護体制
災害発生時に備え、成田赤十字病院に12個班、千葉県赤十字血液センターに2個班の救護班を常備しています。救護班は、医師1名、看護師長1名、看護師2名、薬剤師1名、主事(業務調整員)2名の7人編成で、平時は病院等に勤務し、定期的に訓練や研修に参加し災害救護に必要な知識と技術を身につけています。
災害発生時には直ちに被災地に出動し、救護所の設置や保健医療ニーズ調査、巡回診療、こころのケア活動などを行います。
救護物資の備蓄
県内9箇所に拠点倉庫、県内45市町村に56の保管倉庫を整備し、災害に備え、平時から毛布等をはじめとした救援物資を備蓄しています。災害発生時には被災者へ速やかに配分します。
災害救援物資の備蓄状況
救援物資名 | 在庫数 |
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毛布 | 27,450枚 |
緊急セット | 1,080セット |
安眠セット | 1,565セット |
バスタオル | 1,170枚 |
ガーゼケット | 2,770枚 |
タオルケット | 990枚 |
シーツ | 2,410枚 |
災害時に配布される救援物資
下記のほか毛布も配布されます。
緊急セット
安眠セット
ひとりでも多くのいのちを、救いたい。
災害救護活動をはじめとした赤十字の事業すべては、県民の皆さまからの活動資金によって支えられています。
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